2011年5月8日日曜日

軍用犬ジーナが体験した恐怖。動物も人間同様にPTSDを患う

(BBC記事翻訳)
Military dog recovers from PTSD after Iraq war 5 August 2010 Last updated at 01:24 GMT

1年前、恐怖におびえてジーナはコロラドに帰宅した。ジーナという名前の軍用犬は、イラク戦争で6カ月間の家宅捜査に従事した後、現在はPTSD(心的外傷後ストレス障害)から回復している。

軍用犬マスターのヘインズ軍曹は、ジーナはPTSDからほぼ回復したと話す。

獣医師はこの犬をPTSDだと診断した。人間同様に動物も、PTSDを患う可能性があるという専門家もいる。

この2歳の犬は1年前にイラクでストレスを受け、コロラド州のアメリカ軍ピーターソン空軍基地に帰還した。

だがジーナは現在回復中であると、軍用犬担当のエリック・ヘインズ軍曹は述べた。

「(イラクでの軍務中)、彼女はいつも脅えていた。家宅捜査にも行きたがらなかった」と彼は話した。

軍はPTSDを、生命の危機経験後のトラウマによって生じる症状だと考えている。動物のPTSDについては、人間の場合のように研究されてはいない。だが、動物もPTSDを経験するのだと考える専門家もいる。

「完全に同じではないとしても、犬の場合も人間のPTSDとほぼ同じ症状だ」と、タフツ大学の動物行動学の専門家ニコラス・ドットマン氏はAP通信に語った。

戦争に参加してトラウマを受けた軍用犬ジーナと、彼女のハンドラーのクリス氏。


ジーナは98%、彼女の病を克服しているとヘインズ軍曹は言う。

ヘインズ軍曹によると、イラクからの帰還直後には、ジーナはよく床に低くしゃがんで脚を組み合わせていたそうだ。彼女はまた、大きな音に脅え、自分の背後に何かが、何者かが忍び寄っていないかと、常に頭を巡らせて周囲をうかがっていたという。

しかし、適切な回復リハビリがジーナを助けたのだとヘインズ軍曹は語った。

「ジーナはまだ完全には回復してはいないが、今は本当に良くなっている。彼女は再び許可を受け、待機任務に復帰するだろう」

たくさんの犬用おやつ、基地周辺での散歩、見知らぬ人間との交流、そして徐々に大きな物音に慣れていく練習が、ジーナの自尊心の回復を助けている。

だがヘインズ軍曹は、近いうちにジーナをイラクへ送り返すことには懐疑的だ。

今週マスコミに注目されて以来、ジーナを引き取りたいという世界中の人々から、1日におよそ60から70通のメールを受け取っているとヘインズ軍曹は語った。


読後の感想:
動物だってPTSDを患うに決まっている、と私は思う。
当ブログに掲載した漂流コーギーだって震災のトラウマで苦しんだし、ましてや戦争ともなれば……。戦場では、人間だって命のやり取りが日常茶飯となって極限の状況下で苦しむのに、いくら訓練されているとはいえ犬が恐怖を感じないわけがないと思う。
海外ニュースによると、ビンラディン襲撃作戦に参加した「エリート軍用犬」は、チタニウムの牙・赤外線カメラ・無線・防弾アーマーなどを装備して作戦に参加したという……。
犬は本来人間に使役される存在だという考えの人と、犬は人間の友達・相棒だと考える人では、軍用犬に対する考え方は違うと思う。でも、軍用犬とそのハンドラーの間には主従関係以外に、深い信頼関係と絆があるのも確か。
それに、何かの目的や仕事を与えられて生きている犬たちは、少なくともウチの愛玩犬たちよりも輝いているのは間違いない。ビンラディン襲撃作戦の軍用犬の記事を読みつつ自分なりに考えてみたいので、とりあえず、ずっと紹介したかったこの記事を掲載することから始める。