2011年5月14日土曜日

原発周辺の犬猫200匹、寒川の夫妻のシェルターに保護

(npr記事翻訳)Risky Rescue: Saving Pets From Japan Exclusion Zone
by BRIAN NAYLOR  May 12, 2011


日本の3月11日の地震と津波、そして引き続く放射能汚染によって避難を余儀なくされたのは数万の人間だけではなく、多くの動物たちもまた家を失った。

福島第1原発周辺でさまよう動物たちを救出するために、立ち入り禁止区域に侵入する動物保護団体がいる。

東京から電車で約2時間の場所にある寒川の動物愛護団体のシェルターは、犬猫約200匹の新たな家となっている。その多くは、原発周辺の立ち入り禁止区域から来たのだ。

現在、寒川の動物保護シェルターには約200匹の犬猫が収容されている。
その多くが原発周辺の立ち入り禁止区域から救出された。


このシェルターを夫とともに主催するスガノさんは、動物救出のために避難区域への秘密の危険な旅に幾度か参加した。

「立ち入り禁止区域は放射能汚染の危険はあるし、警察によって警備されています。だから、私たちがこの区域に入るのはとても苦労します」とスガノさんは話した。「ですが、この瞬間にも犬たちは死んでいく。だから私たちはやらなければならないのです」

このシェルターは、避難区域や津波によって破壊された多くの町から連れ出されたペットたちが保護されている、日本中にある多くの動物シェルターのひとつだ。多くの避難所は犬猫を受け入れていないので、避難民たちが元の家に戻る許可を受けるか、新たな住処を見つけるまで、彼らのペットはこのようなシェルターで過ごすことになる。

「これは使命のようなものなのです」と彼女は話す。「人間として、私たちがそこへ赴いて動物たちを助けることはごく当たり前のことなのです。被災地の人々は避難を余儀なくされ、犬たちを置いてこなければならない状況なのだから」

救出された犬たちは、3段~4段に積み重ねた典型的なペット用のクレートで暮らしている。その多くは小型の雑種犬で、中にはスパニエル犬やセントバーナードといった犬もいる。このセントバーナードの飼い主は、センターにこの犬の救出を依頼したのだ。

動物たちの多くが飢えてストレスを受けていると、動物たちのためにボランティア活動を行っている獣医師のオオタケ・ユキエさんは話す。

「このシェルターへ到着した時、犬たちはとても獰猛でした。自分自身を守るためにね。でも数日後にはストレスは解消され、犬たちはきちんと餌を食べるようになり、ここが安全な場所だと理解し始めたのです」と、オオタケ獣医師は語る。「こうしてやっと、私たちは犬に触れたり一緒に散歩に行けるようになったのです」

立ち入り禁止区域から救出された犬たちは即座に洗浄され、放射能汚染値測定を受ける。動物たちの苦境を心配して助勢を申し出るボランティア希望者は多く、犬の散歩を引き受ける者もいる。

イワサキさんは、ドッグフードと大きなタオル持参で立ち寄った。私も犬を飼っていますから、TVで(避難区域の)犬たちの姿を見て悲しくて」イワサキさんは話す。「だから私たち、今日このシェルターに来たんです」

「人間と犬は可能な限り等しく扱われるべきである」というのが彼らの考えだと、このシェルターのオーナーは話す。だが、未だ避難区域に残されているペットたちの命運は尽きかけていることを彼らは認めた。



この記事に対する外国人の意見:
「なんてひどい! 飼い主をなくして気の毒なペットたち。でも、保護されている犬たちがいてよかったわ」

「かわいそうな犬たち。かわいそうな子供たち」

「自然災害と人災だな」

 「避難区域に入ってペットたち助ける人々を誇りに思う。動物たちがみな家を見つけられますように」

 「こういう動物たちを助けている団体に寄付できる場所ってないのかな?」

「この手の災害ではすべての生きとし生けるものが苦しむ。そしてすべてが救われるわけではない。だが、ペットが救われていると知って嬉しい。放射能障害のために、救うことができない動物を安楽死させることは最も人道的なことだろう。ただ苦しむに任せて動物たちを死なせることは受容できない。もちろん、多くが死ぬだろうが」


読後の感想:
私などより、この記事の保護団体のことを詳しくご存じの方がおられるかもしれないが、このシェルターがあるSamukawaというのは神奈川県の寒川のことだと思う。
当記事には“Samukawa---about a two-hour train ride from Tokyo through congested suburbs”としか書かれていないので、東京から電車で2時間ほどの場所だというのはわかるが、何県の団体なのかはわからない。
当記事の発信元のnprは、アメリカ人が通勤中の自動車で聴くような公共ラジオ局(日本で言うならNHKみたいなもの)だから、そのnprが避難区域の動物の記事を掲載してくれたことはありがたい。多くの外国人に、原発周辺に取り残された動物たちの苦境を知ってもらうことは、間違いなく意味のあることだろう。