2011年6月16日木曜日

セラピー犬チロリ。虐待後捨てられ安楽死寸前だった雑種犬の話

(You Tube犬動画)


今回ご紹介するのは、yanagi1212さんによってYou Tubeに投稿されたとある名犬の動画。これは、前回の記事“国際セラピードッグ協会が被災地にセラピー犬を派遣”の読後の感想で言及した、日本初のセラピードッグとなった名犬チロリの波乱と感動の生涯を再現した映像作品。
海外発の犬動画ではないけれど、人間と犬の真実の絆を描いた本当に素晴らしい感動動画なので、職業犬(働く犬)、特にセラピー犬に興味がある方は是非1度ご視聴を。

※”日本初のセラピードッグ名犬チロリ”の動画には、現実の映像と再現映像が含まれています。白い犬が本当のチロリで、コーギー犬が演じているのが再現映像です。



子犬数匹とともに廃屋に捨てられていた母親犬のチロリを子供たちが発見した。そこに偶然大木トオル氏が通りかかり、これが彼らの運命の出会いとなった。

だが、食い込んだ首輪や痛々しい傷跡など、チロリの体には虐待を受けた痕跡があった。


大木トオル氏はアメリカでシンガーとして活動する傍ら、セラピードッグについて学んだ。


忙しい生活の中で大木さんは捨て犬たちの里親を探し、子犬はすべて新しい家を見つけることができた。だが母犬のチロリは引き取り手がなかった。そして彼がいない間に、チロリは保健所に連れて行かれてしまった。

大木さんの必死の救出活動の結果、辛うじてチロリは安楽死を免れて救出された。


セラピードッグを日本で広めたいと思っていた大木さんは、セラピー犬の訓練施設を自費で運営していた。大木さんに引き取られたチロリはここで暮らすことになった。

だが施設には大型犬ばかりで、当初チロリはその中で浮いた存在だった。

この施設には不治の病で闘病中のハスキー犬がいたが、なんとチロリはこの犬を励まし介護したのだ。これに驚いた大木さんは、本来なら血統のはっきりしない犬はセラピー犬にはできなかったのだが、それでもこの犬の才能を信じてチロリをセラピー犬として訓練しようと決心した。


彼の予想通り、チロリは様々な厳しい訓練を順調に乗り越えていった。だがある日、杖を使う人間に歩調を合わせて歩くケインウォークの訓練のとき、杖を見た瞬間、チロリは逃げ出した。

チロリが震えるほど杖を怖がったのは、かつて杖のようなもので虐待されていたトラウマのせいだった。そこで大木さんは、毎日杖を持ったままチロリと一緒に眠ることにした。チロリを杖に慣れさせるためだ。


その後チロリは見事”杖の恐怖”を克服し、セラピー犬として初仕事をすることになった。

事故で車いす生活になった女性患者は、最初はチロリにまったく心を開かなかった。だがチロリは根気強く彼女とアイコンタクトによる触れ合いを続けた。そんなある日、チロリが彼女の腕を舐めた。すると驚いたことに、彼女は不自由な手でチロリを撫でようとした。これがきっかけで彼女は笑顔を取り戻し、諦めていたリハビリを再開する気力を回復した。

歩行能力回復の見込みはないと言われていた男性ですら、チロリに促された結果、自力で立ち上がって歩くことができた。

その後、チロリのセラピー犬としての活躍が評判となり、全国から仕事の依頼がくるようになった。そして大木さんは国際セラピードッグ協会を立ち上げた。

日本初のセラピー犬としてチロリは活躍し続けたが、ある日不治の病で余命3カ月だと宣告された。だが彼女はモルヒネで痛みを抑えながら、それでもセラピー犬としての仕事を続けた。それがチロリの望みだったからだ。

そしてとうとうチロリは、波瀾万丈だが意義のある充実したその生涯を終えた。

チロリは虹の橋を渡ったが、彼女と大木さんの絆が途切れたわけではない。日本でセラピードッグを広めることに大いなる貢献をした開拓者であるこの1人と1匹の物語は、日本のセラピードッグ史上で永遠に語り継がれていくだろう。


※下記リンク先で、名犬チロリと大木トオルさんの動画が視聴できます。

日本初のセラピードッグ 名犬チロリpart1
日本初のセラピードッグ 名犬チロリpart2
http://www.youtube.com/watch?v=aR6RS5WO4tc&feature=fvwrel


参考HP: 国際セラピードッグ協会http://www.therapydog-a.org/