2011年6月2日木曜日

軍用犬、ビンラディン以前は”装備品”扱い。現在は?

ABCニュース記事翻訳)
War Veteran Dog Adoptions Rising but They Are Still Not Officially Recognized
By MICHAEL MURRAY May 30, 2011

国中のアメリカ人が、従軍した男性や女性、そして永遠の眠りについた不明戦士たちを賛美して戦役将兵記念日を祝う。(だが)国に奉仕した他の戦士たちが承認されていない。

公式には、アメリカ兵士とともに従軍した犬たちは“余剰装備”として分類されている。だが戦場で軍用犬は、兵士にとって装備以上のものなのだ。

軍用犬の装備を解説したCG。だが、アメリカ軍では軍用犬自体が“装備”扱い。


オサマ・ビンラディン殺害作戦でSEALチーム6によって使われた軍用犬のストーリーは、退役軍用犬の引き取りへの興味を新たなものにしている。軍用犬を引き取るには最大2,000ドルの費用がかかる。これは軍が、軍用犬の旅費を支払わないためだ。

「軍用犬の訓練は過酷なことで知られています。軍用犬は人間同様にある時期に引退し、より平和な生活を始めることになります。退役軍用犬にはこれが必要なのです」と、アメリカ軍用犬協会のロン・アイエロ会長はABCニュースに語った。「退役軍用犬の残された人生は23年です。犬たちはあたたかい家族とともに平和的な環境で余生を過ごすべきだと、私たちは考えています」

軍用犬が戦場でどれほどの助けになるのか、アイエロ会長は知っている。ヴェトナム戦争時、彼の相棒犬はストーミーと名付けられた。

「パトロールや作戦時、軍用犬部隊の人と犬は長い期間ともに過ごすのです。お互いのそばから決して離れません。ともに行動し、ともに休息し、ともに食事をとるのです」

彼はストーミーをヴェトナムに置いてこなければならなかった。だが彼は現在、軍用犬が“犬の退役軍人”として再分類されるために活動している。そうなれば、軍は犬の帰国費用を支払うようになるので、軍用犬を従軍地から連れ帰ることが容易になるのだ。

約3,000匹の軍用犬(多くが、ダッチシェパード・ジャーマンシェパード・ラブラドールレトリーバー・ベルジアンマリノアなど)が、世界中のアメリカ軍に配備されている。軍高官たちは、軍用犬たちが数千人の兵士たちの生命を守ったことを認めている。

「ヴェトナムで、ストーミーは私を守ってくれました。これは一生涯続く絆なのです」アイエロ会長は語った。

毎年、このような軍用犬の約300匹が退役して引き取られる。パキスタンでの52日のビンラディン襲撃作戦以来、400件以上の里親希望者からの申し込みを受けていると軍は述べた。

ロサンゼルス在住のタッチストーン一家は、8歳のジャーマンシェパードを引き取ることができてとても喜んでいる。一家は退役軍用犬にあたたかい家を与えたが、軍はこの一家にこの軍用犬の経歴を一切語らないだろう。

「軍用犬は私たちに多くを与えてくれます。私たちは彼らに借りがあるのです。彼らは国に多大な貢献をしているのです」と、タッチストーン一家はABCニュースに話した。「最低限私たちにできることは、彼らの働きに報いることなのです」

過去にはこのようなヒーロー犬たちは、(タッチストーン一家が引き取った)バガーのように幸運ではなかった。

「数世紀の間、軍用犬はアメリカ軍人とともに戦ってきたのです。非公式には南北戦争、そして1942年の第二次世界大戦時に、軍用犬は正式にアメリカ陸軍に採用されたのです」と、"War Dog of the Week"の著者レベッカ・フランクルさんはABCに語った。

軍用犬組織によると、アメリカ軍によってヴェトナム戦争に配備された軍用犬のうち帰国できたのは、概算4,900匹のうちの204匹のみだという。帰国できなかった軍用犬は安楽死させられるか、置き去りにされるか、または南ヴェトナム軍へ渡された。

2000年にクリントン(元)大統領が退役軍用犬の引き取りを合法化した。

テキサスのサンアントニオにあるラックランド空軍基地のゲリー・プロクター広報官は、現在安楽死させられる退役軍用犬は1匹もいないとAP通信に述べた。

「すべての退役軍用犬が家を見つけています」彼は話した。「現在、引き取りを希望する人は6か月待ちの状態です。ビンラディン襲撃以来、里親希望者が増えているのです」

昨年は338匹の犬が引き取られた。(退役軍用犬の引き取り手は)、“国家の最高の相棒”であることを証明した“人間の最高の相棒”の隠居場所に相応しい一般家庭、警察、その他の政府機関などだ。


読後の感想:
巨額の予算を充てられているのだろうに、米軍サマが退役軍用犬の旅費2,000ドル程度すら里親任せって……ちょっと呆れてしまった。それに、以前の記事でも退役軍用犬の安楽死について言及されていたけれど、2000年以前まで軍用犬は安楽死か戦地に放置されていたということが未だに信じられない。
それにしても、ハンニバルの象軍団や木曽義仲の火牛とか、戦争で使われた動物たちのことは聞いたことがあるけれど、アメリカ南北戦争の頃から軍用犬が存在していたというのは初耳。当時の戦いで軍用犬がどんな役目を担っていたのか興味があるので、少し調べてみようかな。