2011年6月25日土曜日

避難所の中で暮らせない犬たちに迫る健康問題

Asia One記事翻訳)


2か月間飼い主の車の中で暮らすことを余儀なくされ、福島の避難所のペットたちはストレスや健康問題に苦しんでいる。

気温の上昇や、多くの時間を狭苦しい閉じられた空間で過ごさなくてはならず、動物たちは身体的・肉体的に消耗している。

福島県は避難所のペットのためにテントやケージの設置を始めているが、飼い主たちの懸念は消えない。

「ペットたちがかわいそうで。車などの狭いスペースに閉じ込められて、彼らの健康が心配です」と、ある避難者は話した。

ショウジ・トシエさん(32)は、「ベリー、散歩の時間よ!」と声をかけた。福島県のあづま運動公園の駐車場に停めたミニバンから、彼女のミニチュア・ダックスフンドが飛び出した。福島県の浪江町から避難して以来、彼女と両親はこの施設で暮らしているのだ。

公園内のこの体育館には600人以上の人々が留まっており、その中のおよそ20人がペットと暮らしている。中・大型犬は屋外で飼われ、木やポールにリードで繋がれている。だが屋内飼育に慣れている多くの小型犬や猫は、飼い主の車の中で世話されている。

朝方と夕方に天気が許せば、飼い主たちは車からペットを連れ出して公園を散歩する。

11歳のベリーは2年前にケガをして以来、排せつに問題がある。ショウジさんはベリーをペットシッターに預けることをためらい、3月末に避難所に移動してきてからミニバンの中で犬の世話をしている。

日中、車中の温度が危険なまでに高温になることは承知しているが、ショウジさんは犬の身を案じて車の窓を開けることができないのだ。

彼女は日に数回ベリーの状態をチェックするが、日光を避けるために犬が運転席のシートの前のフロアに入り込んでいることもある。

「事故にあう恐れや、誰かがベリーを連れ去るかもしれないと考えると、心配でベリーを外に出すことができないのです」と、ショウジさんは話した。

福島県の南相馬市から避難して以来、この施設で2匹の猫とともに暮らしているある男性は、同様の懸念を抱いている。

この38歳の会社員は話した。「家で自由に過ごしていたときと比べて、ここでは猫たちは運動不足になっています」

12の自治体の避難施設からテントやペット用ケージの支給要請を受けていると、県の動物保護本部は述べた。

福島県の要請で、あづま運動公園に2つのテントと25個のケージを設置する計画だ。

動物保護本部はすでに3つのテントと40個のケージを郡山のセンターに設置した。

「飼い主にとってペットは家族の一員なのです。もし引き離されたら、両者にとってストレスの原因となります」と、保護本部の職員は述べた。

福島県の家畜医療協会の役員シマザキ・マサミさんは、動物たちが置かれている状況に懸念を表明した。

「狭いスペースに押し込められたペットたちは、運動の欠如による消化問題を引き起こし食欲減退や下痢などを患う恐れがあります。ストレスが多いと、様々な健康問題の原因となります」と、彼は述べた。


読後の感想:
この季節になると、海外の記事でもペットのための暑さ対策やヒートストローク(熱中症)などに対する注意を呼び掛ける記事を多く目にする。アメリカで、ハンドラーの車の中に4時間置かれていた警察犬が熱中症で死亡したという記事を先週読んだが、夏の車中の高温は警察犬すら殺すほどに危険らしい。もし犬の呼吸が早かったりぐったりとしていたら熱中症のサインらしいので、水に浸した人間の服などで犬の体を包んですぐに獣医師を受診すべきだという。
自分の動物を本当に守れるのは飼い主である自分だけなので、被災地で不自由な仮住まいを余儀なくされている飼い主さんたちの憂いは深く、心配ごとは尽きないと思う……。

英文記事: Japan: Pets of evacuees 'trapped' in cars
The Yomiuri Shimbun/Asia News Network Mon, May 16, 2011