(Strategy Page記事翻訳)
特別部隊は軍用犬の熱烈な支持者だ。部隊員とともに敵地へパラシュート降下する訓練を施される犬もいる。特別部隊(しばしばオペレーターと呼ばれる)は敵対する土地での偵察任務にたびたび赴くが、最もよい敵地への侵入方法は夜間のパラシュート降下だ。犬は人間や爆発物などをどんなセンサーよりも上手に発見できるので、こういう偵察任務において軍用犬はとても有用なのだ。
犬のパラシュート訓練は時間がかかるものではない。なぜなら、犬は部隊の隊員の胸と紐で繋がれているからだ。通常、犬はこの訓練を嫌がらないが、ジャンプの訓練は確実になされなくてはならない。このジャンプ訓練を楽しむ犬もいる。そして軍用犬たちは、ひとたび地表に到達すると仕事にかかる準備をし、チェストハーネスから解き放たれる。高度10,000メートルから降下した軍用犬すらいる。
600匹以上の軍用犬が現在イラクとアフガニスタンで働いている。アメリカ軍は前世期のすべての戦いにおいて、特別に訓練した軍用犬を使ってきた。軍用犬は数千年の間軍隊で使われてきた。軍用犬は特に、犬を不潔だと考えて嫌うアラブ人に対して効果がある。アメリカの軍用犬はかなり清潔なのだが、彼らは脅える。軍用犬の主な使用目的はクラウドコントロール(群衆管理)ではなく、隠された爆発物や隠れた人間を発見することだが、1匹の軍用犬が多くの敵意を持つイスラム教徒たちをコントロールできるのだ。軍用犬がビンラディン襲撃に配備されたのはこのため(爆発物トラップや隠れようとする人間を発見するため)なのは明らかである。
SOCOM (Special Operations Command) には米陸軍スペシャルフォース、米海軍ネイビーシール、米海兵隊、米空軍オペレーターズが含まれ、彼らは軍用犬を使うための訓練を受ける。SOCOMは軍用犬のための特別装備を開発した。最新のアイテムのひとつは、戦闘犬がよく着るベストに合体されたスペシャルカメラシステムだ。カモフラージュベストは重さ571グラム(20オンス)、カメラは314グラム(11オンス)だ。軍用犬のハンドラーは、76mm(3インチ)のビューワー/レコーダーのハンドヘルド機を持っている。このカメラは、ナイトビジョンとバッテリーが組み込まれており、ビューワーは30分間の視聴が可能だ。このビューワー/レコーダーのデーターリンクはオープンエリアでは1,000メートル、多くの壁がある場所では200メートルである。この装置は、軍用犬を建造物や洞窟の中に送り、そこで犬が見たものをオペレーターが見ることを可能にする。軍用犬のベストにはさらに小さな拡声器が組み込まれており、これを通してハンドラーが犬に指示を出すことができる。これらの特別軍用犬ベストの価格は1着22,000ドル(177万円ほど)である。
この10年間にアメリカ軍は数千匹の軍用犬を交戦地帯で使っている。軍用犬のために新しく開発された多くの装備があるが、従来の装備を最新化しただけのものもある。例えば、長い間軍用犬は装甲ベストを装備していなかった。こういったベストは高価ではなく(100ドル以下)、ただ天候に対する保護と軍用犬の識別のためのものだった。(だが)最近のベストは多くの特殊構造でデザインされている。保冷パックを挿入するための仕切りがあるベストもある(保冷剤を収納する柔らかく平らなビニールパックで、この保冷剤は活性化させたときにとても冷たくなる)。
人間のように効果的に暑さに対処できない犬もいて(犬は汗をかかないので)、イラクやアフガニスタンは夏期にはとても暑くなるので、この保冷剤は熱中症を防ぐのだ。そして、ベストには軍用犬のパラシュート降下を可能にしたりロープで引き上げるためのアタッチメントある。さらに、軍用犬識別のための記章が簡単につけられるようになっていて、ハンドラーが負傷した軍用犬を回収するための様々なグリップがついている。荷物のようにハンドラーがその背で軍用犬を運ぶために、紐がついているデザインのベストもある。こういうベストは軍用犬の機動性を少々損ない、特にジャンプ力に影響を及ぼす。しかし軍用犬はすぐに慣れる。装甲ベストの価格は、その装甲の程度に応じて500ドル~1,000ドルである。無装甲のベストを好むハンドラーもいる。というのは、無装甲ベスト(およそ0.5キログラム/1ポンド)のほうが装甲ベスト(最大3.5キログラム/7ポンド)よりも軽量で、締めつけが少ないからだ。
軍用犬はケブラー防弾チョッキを身につけて働く訓練を受ける。これらのベストは刺し傷、砲弾の破片、そして数種の弾丸から犬を守る。体重41キロのジャーマン・シェパード用の3.5キログラムの重い保護ベストは、兵士や海兵が7.7キログラムのベストを身につけたときの負担に等しい。軍用犬は価値があるので、こういうベストの出費は正当化される。軍用犬は1年間、およそ60,000ドルの訓練を受ける。このような価値ある軍用犬の生命を守る装備にかかる出費は意味のある投資なのだ。
現在アメリカ軍には1,000匹以上の軍用犬がいる。第二次大戦中にはおよそ10,000匹の軍用犬が徴兵され、ベトナム戦争ではおよそ4,000匹の軍用犬が訓練され国外に送られて281匹が戦闘中に殺された。第二次大戦中、太平洋で海兵は327匹の軍用犬を使っていたが、29匹が戦闘で死んだ。このとき海兵は、カモフラージュと待ち伏せ場所の設置に長けていた日本軍を発見するために軍用犬が役立つことを発見した。
法律が改められた2000年までは、軍用犬は年齢10歳くらいまで使われた後に殺された。退役した軍用犬は通常の家庭生活には適応できないと考えられていたのだ。だが、軍用犬はハンドラーや家族たちと安全に暮らしており、ついに政策は変更された。軍用犬のハンドラーたちは長い間、退役軍用犬が彼らのハンドラーとともに暮らすことや、里親に出されることが許可されることを主張していたのだ。
読後の感想:
いつもは、むやみにカタカナ英語は使わずに訳そうと思っているのだけれど、ミリタリー関連に不案内な私が、わけのわからないミリタリー用語を無理に日本語に置き換えようとしても見苦しいだけなので、この記事はカタカナ英語を遠慮なく使ってしまった。
大学受験の和訳問題などでは、カタカナ英語ではなくてきちんと日本語に訳さないと減点される場合があるけれど、これはただの趣味のブログだし、和訳ではなくて翻訳(のつもり)だからOKというコトでご勘弁を。
It's Raining Commandos and Dogs