2011年6月11日土曜日

英王室コーギーのリードを引く正装の従者。近衛騎兵パレードで

(Telegraph記事翻訳)


エリザベス皇太后のクラレンスハウスの使用人で忠実なウィリアム・タロンさん(72)が亡くなった。彼は自分の仕事を、皇太后が公務に出る時に“彼女を微笑ませ続けること”だと考えていた。

タロンさんはちょっとした国宝のような存在になった。皇太后の誕生日にクラレンスハウスの入り口で彼女が毎年国民に挨拶するときに、その傍らに付き従っていたために公衆に存在を覚えられた。タロンさんは1970年にこの役割を担うようになった。

クラレンスハウスでの上下関係におけるタロンさんの正確な役割とその影響の大きさは、(彼の役割が)多くの境界線を逸脱していたために定義することは難しい。彼はエリザベス皇太后の召使いだったが、行事や来賓などを把握する能力に長けていたので、風景画家のエドワード・シーゴなどに代表される皇太后のゲストたちと個人的な友人になった。


エリザベス皇太后のコーギーたちのリードを引く従者ウィリアム・タロンさん。
ロンドンの英国近衛騎兵パレードにて。


彼がこの世で最も尊重した4人の人物はエリザベス皇太后、両親、そしてタロンさんが1960年から2000年までともに働いた、副執事で御前ボーイの親友レグ・ウィルコックだ。

ウィリアム・ジョン・スティーブンソン・タロンは、ダーラム州バートレーの彼の祖父の金物店で19351112日に生まれた。1年後彼の家族は苦境に陥りコンベントリーに移った。

自分の望みを知っていたビリー(ウィリアムの愛称)さんは、たった15歳の時に国王ジョージ6世に直接手紙を書いた。驚いたことに1951年、彼は少年従僕としてウィンザーのイースターコートに召喚されたのだ。

後に彼はバッキンガム宮殿で雇用され、19531954年の女王のコモンウェルスへの旅行に付き添う予定だったが、RAF(イギリス空軍)のナショナルサービスに入った。そして彼は、エリザベス皇太后にクラレンスハウス勤務を願い出て許可され、2002年の皇太后の死まで彼女に仕えた。


以前エリザベス女王と王家のコーギーたちという記事で紹介した、
この写真の男性がウィリアム・タロンさん。


ゲストが集まってくつろぐと、タロンさんは皇太后に知らせる。彼女が部屋に入ると、彼は(でしゃばらずに)背景に溶け込むのだ。

タロンさんはドリンク作りの名人だった。あるランチゲストによると、タロンさんの神秘的な技で、ゲストのグラスはいつも満たされたままでいたという。セントジェームズパレスでの退役軍人たちの陰気な午後の集まりでは、パーティーが滑らかに進むようにお茶にウィスキーを加えておくことも彼は忘れなかった。

彼はチャールズ皇太子の支持者だったが(皇太子はタロンさんが去年3月に入院したときに彼を見舞った)、結婚前にクラレンスハウスに居住していたマーガレット王女とはそりが合わなかった。

いつもすべてが上手くいっていたわけではない。彼の私生活がタブロイド誌の見出しになったとき、タロンさんは引き際だと考えた王室の者たちもいた。

20008月皇太后の100歳の誕生日の夜、タロンさんが彼女とともにロイヤルオペラハウスにいたとき、レグ・ウィルコックさんが死の床にあるというニュースが入った。ウィルコックさんは1週間後に死亡し、タロンさんは彼のためにモールバラハウスのクイーンズチャペルで立派な葬儀を手配した。

その後の彼の生活は容易ではなかった。タロンさんは意気消沈したのだ。エリザベス皇太后がその介護を若い人たちに頼ったため、彼は居場所を亡くしたように感じた。皇太后の死後王室は彼を、クラレンスハウスのロッジから退去させ、彼はケンジントンの庭付きフラットに移り住んだ。

タブロイド誌が彼を安っぽく扱ったときもあった。だが彼はへこたれることはなく、多くの実入りの良い誘いを拒否し、断固として思慮深いまま、多くの(王室の)秘密を墓場に持って行ったのだ。

ウィリアム・タロンさんは、英王室に長く優秀に仕えたためにロイヤル・ヴィクトリア・メダル(ゴールド)を与えられた稀なる所有者のひとりである。


個人的な意見だが、他の英王室の人たちとは違ってこのウィリアム・タロンさんは、
エリザベス女王&皇太后のコーギーを心底大切に世話していたような気がする。


読後の感想:
当記事はコーギーの記事ではないけれど、いつものごとく、付属のコーギー写真を紹介したかったので掲載した。エリザベス皇太后の従者だったウィリアム・タロンさんが正装で皇太后のコーギーのリードを引いている写真は、英王室のロイヤルコーギーたちの姿を読者に伝える実に興味深い写真だと思う。本当は写真だけ掲載したいのだけれど、それでは記事の執筆者に対して失礼なので、なるべく写真のみでは掲載しないと決めているため、当記事も(仕方なく)翻訳した。
長い記事なので飛ばし読みでも構わないし、写真だけでも楽しんでいただければ紹介した甲斐がある。英王室のコーギーに興味がある読者さんに、ロイヤルコーギーたちが生きている世界の雰囲気や“匂い”だけでも伝われば幸いだと思う。

※エリザベス皇太后とウィリアム・タロンさんの関連ニュースは、エリザベス皇太后とコーギーの城で同性愛騒動でどうぞ。