(The Daily Mail記事翻訳)
保守党国会議員が、ウェストミンスター宮殿(英国議会の議事堂)への彼の犬の連れ込み禁止をくつがえすために人権法に訴えている。
ジャック・ラッセル犬のマックスを庶民院(英国議会の下院)のオフィスに連れてこないようにと告げられ、保守党国会議員マシュー・オフォードさんは驚くべき行動を行っている。
月齢6か月のジャック・ラッセル犬を自宅に連れ帰るために1週間の猶予を与えられたオフォードさんは話した。「これは馬鹿げた規則だ。マックスは人を害するようなことは何もしていない。彼は吠えないし、私のスタッフたちも不満などまったく口にしていない」
「もし彼らがこの禁止を押しつけるならば、私は人権法に訴えるだろう。なぜなら、彼らは私の個人的権利と家庭生活を脅かしているからだ」
活発なホワイトタンの毛色の子犬マックスは、彼の同僚議員たちからの反対もなく、41歳のオフォードさんとともに数週間ウェストミンスターに出勤していた。
ロンドン西北部ヘンドン出身の国会議員は、マックスを連れて来る前に議会の職員たちに相談し、個人的に許可を受けたと話した。
「私は彼を数か月間連れて来ている。犬を隠すようなことはしていない。私が職場に犬を連れて来ているということは秘密ではない」と彼は話した。
だが職員のひとりがオフォードさんのオフィスでマックスのバスケットを発見し、騒動が起きた。
この結果オフォードさんは、議員のオフィスを監督する庶民院上級議員のジェームズ・ロバートソンさんの挑戦を受けることになった。
オフォードさんは庶民院のジョン・バーコウ議長にこのペット禁止の取り消しを求めた。ロバートソンさんは彼に、ウェストミンスター宮殿内への犬の連れ込みを禁じた1991年の法律を告げた。警察の探知犬、盲導犬、そして議会の敷地内で暮らすスタッフのペットのみが、この法律の例外である。
犬の立ち入りは禁止だと述べたウィップ・マーク・フランソワ保守党議員に反対されても、オフォードさんは引き下がらないことを明らかにした。
「彼は私に1週間の猶予を与えたが、私は従わないつもりだ。私の妻のクレアは日中マックスの世話ができないのだ」
「私は自分のためにではなく、マックスのために人権法に訴えるとウィップ氏に伝えた」
人権法は“個人または家庭生活”を管理するもので、この法律によって2009年にボリビア人移民が、ペットの猫の世話をするために彼はイギリスに留まる必要があるという理由で送還されずにすんだ。
議長にこの禁止の取り消しを求めているオフォード議員は、マックスのオフィスでの状況は、“職場における犬”に関するRSPCA (王立動物虐待防止協会)の指針に応じたものであると述べた。
「マックスはいかなる混乱も引き起こしてはいないし、きちんと躾られており、私は彼を規則正しい散歩に連れて行っている」と、オフォードさんは述べた。
オフォードさんとオフィスを共同使用している保守党国会議員のジョン・スティーブンソンさんは、マックスを連れて来ることを完全に支持していた。
騒動が勃発し、土曜日に“The Mail”誌の報道で、他の国会議員2人もペットを職場に連れて来ていることが明らかになった。そのうちのひとりは、旅行用の大型カバンにペットを入れてこっそり連れ込んでいる。
庶民院の広報官は、同僚のオフォード議員に議会の規則を思い出させてあげるようにロバートソンさんを促した。
読後の感想:
この国会議員に対して、イギリスの有権者たちはどんな感情を抱くのだろう? 反感、嘲笑、怒り、それとも動物愛護大国の国民としてはやはり共感なのか? そんなことを考えつつ読んでいたら、読者のコメントが300近くついていて驚いた。あまりに多過ぎていちいち読んではいられないがザッと目を通してみたら、中にはちらほらと共感の意見があったけれど、犬を飼っている人も含めてほとんどの読者の意見は厳しいものだった。
例えばこんな↓
例えばこんな↓
“もしこの議員の言い分がまかり通るなら、グレート・デーンやコブラも職場に連れて行けるんだな“
”こんな馬鹿が私たちの国の政治に関わっているなんて“
”職場は私生活の場ではない“
“そんなに動物に囲まれているのが好きなら、動物園で働け“
“こんな連中が国の政治をしているのか? 犬は家に置いて来い、馬鹿野郎”
“本気で言っているのか?” “なんて馬鹿” “いますぐ議員を辞めろ”
職場でも愛犬と一緒というのは、犬の飼い主にとっては憧れかもしれない。日本でも事業主さんの中には、愛犬と出勤して従業員たちにも歓迎されているというような話を聞くことがある。ボスである社長をはじめスタッフがみな了承するならば、職場における犬の存在は “ストレス減少効果”や“活力・癒しのリソース”になると思うので構わないと思う。
でも議員は社長とは違う。議事堂のオフィスは彼の所有物ではないし、彼の給料は税金から賄われていて、国民の中には犬が嫌いな人や苦手な人が大勢いる。この議員さん、世間を舐めているおボッチャンがそのまま大人になってしまったとか?
でも議員は社長とは違う。議事堂のオフィスは彼の所有物ではないし、彼の給料は税金から賄われていて、国民の中には犬が嫌いな人や苦手な人が大勢いる。この議員さん、世間を舐めているおボッチャンがそのまま大人になってしまったとか?
英文記事: Commons dog ban breaches my human rights, says MP... and no, he's not the member for Barking By BRENDAN CARLIN and MARTIN DELGADO Last updated at 12:26 AM on 19th June 2011 http://www.dailymail.co.uk/news/article-2005374/Commons-dog-ban-breaches-human-rights-says-MP--hes-member-Barking.html?ito=feeds-newsxml
参考動画: http://www.bbc.co.uk/news/uk-politics-13857819
追記:
当記事を訳し終えた後にBBCで、“マシュー・オフォード議員は、法の保護を得るためや国外追放を免れるために利用する人がいる評判の悪いこの人権法に衆目を集めるため、彼のペットの犬を使ったことを認めた“という記述を見かけた。
BBCの番組で、贈られた犬のぬいぐるみを膝に乗せて話すオフォード議員(右)。
犬のぬいぐるみを持ちながらオフォード議員に話を聞くBBCの司会者。
スクリーンには議員の問題の愛犬、ジャック・ラッセルのマックスの映像が。
これってつまり、この議員が”人権法に訴えてでも犬を職場に連れて行くのをやめない“というおバカな主張をしたのは、移民が送還を免れるためにこの法律を利用してイギリスに留まり、シリアスな犯罪を犯していることを憂いて、ペットを利用してあえて”バカ者“の演技をしたということ? ふ~ん、さすが元BBC社員、シナリオ作りがお上手。ひょっとして数か月前に犬を飼ったときから計画していたとか。目立つことをして名前を売りたがっている人なのかな。 将来首相になったりして。
もしそうなったら、”イギリス首相の愛犬ジャック・ラッセル”関連の記事をこのブログに掲載できる……って、何年先? その頃はもうブログやめているかもしれないし。