2011年4月16日土曜日

置き去りにされたシェルティーたちの救出劇の詳細と、この犬たちの現在の状況(The Canadian Press記事和訳)

Japanese volunteers risk radiation to rescue pack of shelties left behind in evacuation zone By Ryan Nakashima, The Associated Press---1 day ago
Associated Press writer Eric Talmadge and photographer Hiro Komae spotted the dogs in Minami Soma on April 7. Copyright c 2011 The Canadian Press. All rights reserved.
http://www.google.com/hostednews/canadianpress/article/ALeqM5j6vduzC2zK2L6u8MWkqtjKdMW2tA?docId=6561660

津波に破壊された原発付近の放棄された町をさまようシェルティーの群れのニュース写真をオギノ・エツミさんが見たとき、彼女は13歳になる自分の飼い犬のことを思った。そして、行動を開始した。

「心が揺さぶられました」と、千葉県の動物シェルターのボランティアである56歳のオギノさんは述べた。「(シェルティーたちが)自分の犬と重なって見えたんです。(そして)すぐに私はあの犬たちを探し始めたのです」

彼女をはじめ日本中の人々が、(さまようシェルティーたちの)写真を掲載した朝日新聞のウェブサイトである朝日コムに連絡した。(このシェルティーの)写真や南相馬市の人の消えた通りにいた他の犬たちの写真を撮影したのは、AP通信のカメラマンだった。


南相馬の町をさまようシェルティーたちの写真に、日本中の多くの愛犬家が心を揺さぶられた。そして、その中のひとりである千葉のボランティア女性が救出に立ちあがった。


AP通信は土曜日、この犬の群れが目撃された場所をオギノさんに教えた。

オギノさんはこの情報を、シェルティー・レスキューという動物救援団体に伝えた。その時までにこの団体は、日本中の愛犬家たちからこの犬たちに関するメールを受けていた。

メールとインターネットを利用した調査から、この団体はシェルティーの飼い主が南相馬のブリーダーであることをつきとめた。このブリーダーの身元を追跡するために、シェルティー・レスキューは日本コリークラブの福島市支部に電話連絡した。こうしてオギノさんは、この犬たちの救出に乗り出したのだ。

日曜日の午前0時に、7人のボランティアが東京を出発し、南相馬のゴーストタウンにいる他の3人のボランティアと会うために、自動車で壊れた道路を進み、破壊された家屋の間をぬって、そして合流した。放射能防護服を用意してきた者もいたが、レインコートを身につけただけの者もいた。

最初に到着した2人が、シェルティーのブリーダーの自宅近くのオダカ駅周辺で犬の群れを発見した。その場所はAP通信のチームが最後に犬たちを目撃した所であった。

「犬たちは飼い主を待っていたんです」と、東京からやってきた保護団体とともに来たボランティアの中村タミコさんは述べた。

残されたフードがいくらかあったので、犬たちは餓死しなかったのだ。

おやつで犬たちをおびき寄せるのにしばらく時間がかかったが、やがて6~7匹が車に入れられた。この団体は全部で20匹の犬を救助した。

救われた犬たちのほとんどが、東京の西に位置する神奈川県の動物病院へ送られた。残りの犬たちは、他の地域の個人(ボランティア)によって世話されている。

災害によって疲れ果て、自分の犬たちの身を案じていた飼い主は、「とても喜んでいた」と中村さんは述べた。中村さんによると、このブリーダー女性は自分の身元が明らかになることを望んではいないという。

(シェルティーの)群れの中にいた数匹が逃走し、そして数えきれない他の犬たちが未だに避難区域の中に取り残されている──これが中村さんの唯一の心残りなのだ。

「まだ放置されているたくさんの犬がいます」「彼らのことが心配で、連れ出してあげたいんです」と彼女は語った。


読後の感想:
私がこのさまようシェルティーたちの写真を見たのは当記事が初めてだった。そして記事中に、この写真が朝日のHPで掲載されたと書いてあったので俄かに心配になった。なぜなら、朝日コムでこの写真を見た全国の犬の飼い主さん──特にシェルティーの飼い主さんたちは、心配で気が気じゃない人も多いのでは──と思ったから。で、海外メディアを探してみたら、この犬たちの救出とその後の状況がわかる良い記事を見つけたので、急いで和訳して掲載した。
シェルティーはコーギーと同じハーディングドッグの仲間だけど、シャコタン胴長短脚コーギーとは正反対な優雅な体型の持ち主。この美しい犬たちが無事助けられて良かった。救出者さんたちの高い志に敬礼。そして、このシェルティーのブリーダーさんが実名を出さない理由が、自分の犬たちに対して何か後ろめたい思いがあるからではないといいな。

※掲載写真はDaily Mailの記事より転載。こちらは明日掲載予定。←の予定だったけれど、掲載メディアは異なるとはいえ、同じニュースを2度掲載するより他の記事をどんどん掲載していきたいので、Daily Mailの"Dog-lovers brave Fukushima nuclear danger zone to save abandoned pets"という記事からは写真のみ掲載ということで。↓


 無事シェルティーたちを保護したボランティアが、フードを与えている。
黄色い服はレインコートではなくて防護服らしい……。


塵と埃で汚れたシェルティー。救出ボランティアにも脅えて震えている。


ケージに入れられて飼い主の元へ。前脚をケージに置いて嬉しそう。


安全なシェルターへ保護されたコーギー……じゃなくて、シェルティー。
救出されたのは全部で20匹。